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Twitterによる投票で年間ベスト10が決まる!?
Twitter文学賞って知ってますか?

毎年ひとり一票ずつ、その一年間に刊行された、国内・国外の小説にツイートすることで票を投じるのです。
そして、それが全て集計された結果、国内と国外の年間のベスト10の小説が決まり、それじたいがとても有意義なブックリストとなる、そんな参加型の楽しい文学賞なのです。
2010年に書評家の豊崎由美氏による発案で開催されたのが始まり。
その時、豊崎氏は次のように言っています。
「わたくしトヨザキは、投票による民主的なランクづけには元々懐疑派でした。
ところが2009年末、「読んでいいともガイブンの輪!」(わたしが偶数月にやっている海外文学に特化したトークイベント)の参考にするため、Twitterで「今年読んで面白かったガイブン」の投票を募ったところ、「このミステリーがすごい!」や「週刊文春ベストミステリー」よりもずっと刺激的な結果が出たんです。これはおそらく、わたしをフォローしてくださってる約1万人の方が、「そこそこ本を読む人」ではなく「すごく本が好き」な方だったからではないか。だとしたら、その皆さんを中心にして投票を募ったら、もしかすると「このミス」や「文春」や「本屋大賞」とは違う結果が生まれるかもしれない。そう思って、「Twitter文学賞」を立ち上げてみようと思ったんです。
なぜ海外・国内それぞれの投票を1人1作に限るルールにしたかといえば、これは「このミス」の投票方式を反面教師にしました。「このミス」では自分にとって1位・2位・3位の作品とその理由を挙げるという投票の形をとっていますが、このやり方だと、大勢の人が3位に名前を挙げた作品が、まんべんなく点数を獲得し、結果1位になりかねない。つまり、比較的無難な作品が上位にランクインしがちなんです。
というわけで、「Twitter文学賞」では、1作しか挙げてはいけないルールを設けました。たった1作のタイトルしか挙げられないのは苦しいと思います。わたしも苦しいです。でも、その苦しい選択を乗り越えて挙げるたったひとつのタイトルの価値は重い。わたしは、その重さこそが何よりも大事と考える者です。
これまでにも、ネット投票による文学賞はいくつか存在しましたので目新しさには欠けるかもしれません。ですが、エンターテインメントと純文学を同じ俎上にのせ、かつ国内篇と海外篇を設ける賞はこれが初めてと認識しています。投票は国内小説だけでも、海外小説だけでも、両方でもけっこうです。ぜひ、あなたの「この1作」を教えてください。みんなで、これまでにない面白い文学賞を作っていきましょう!」
(豊崎由美「Twitter文学賞【やってみようと思った気持ち】」より)
だいたい、投票は年度末。学年の変わり目です。
ぜひ、みなさんも参加してみては!?
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第5回Twitter文学賞が発表されました!
2014年のベスト10は以下の通り。
■国内
1位……42票『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』木下古栗著(講談社)
2位……38票『海色の壜』田丸雅智著(出版芸術社)
3位……24票『ボラード病』吉村萬一著(文藝春秋)
4位……22票『東京自叙伝』奥泉光著(集英社)
5位……21票『離陸』絲山秋子著(文藝春秋)
6位……20票『エヴリシング・フロウズ』津村記久子著(文藝春秋)
7位……18票『鳩の撃退法』(上・下)佐藤正午著(小学館)
8位……15票『海うそ』梨木香歩著(岩波書店)
8位……15票『献灯使』多和田葉子著(講談社)
9位……12票『てらさふ』朝倉かすみ著(文藝春秋)
10位……11票『知的生き方教室』中原昌也著(文藝春秋)
■海外
1位……34票『愉楽』閻連科著/谷川毅訳(河出書房新社)
2位……31票『ピース』ジーン・ウルフ著/西崎憲・館野浩美訳(国書刊行会)
3位……25票『別荘』ホセ・ドノソ著/寺尾隆吉訳(現代企画室)
4位……24票『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ著/東江一紀訳(作品社)
5位……23票『火星の人』アンディ・ウィアー著/小野田和子訳(早川書房)
6位……18票『低地』ジュンパ・ラヒリ著/小川高義訳(新潮社)
7位……16票『遁走状態』ブライアン・エヴンソン著/柴田元幸訳(新潮社)
8位……15票『コールド・スナップ』トム・ジョーンズ著/舞城王太郎訳(河出書房新社)
9位……13票『大いなる不満』セス・フリード著/藤井光訳(新潮社)
10位……11票『逃亡派』オルガ・トカルチュク著/小椋彩著(白水社)
その他の順位(10位以下)はこちらにまとまっています。(→国内編、海外編)
過去の順位はこちらへ。
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